大学では工学部等の理系学部に所属し、まもなく就活。建設業も候補にあげてゼネコンやプラント、鋼構造物の建設会社を就職先として検討されている方もいるのではないでしょうか?
ゼネコンや建設会社というと数多くの作業員を取りまとめる現場監督の仕事。
- 業務内容のイメージが沸かない
- 入社してすぐの若手はどんな仕事をするの?
- 自分に向いているのか分からない
- 大手建設会社に入社するにはどうしたらいい?
こういう悩み・不安を持っている人もいるのではないでしょうか。そういう管理人も就職活動中の当時は同じような悩みを持っていました。
8年間、現場監督として勤務している管理人が、これから建設会社への就職を検討している学生さん向けに、若手現場監督のs仕事内容を紹介します!
- 現場監督の仕事内容
- 若手現場監督の仕事内容
- 現場監督の仕事は若い時期が楽しい理由
現場監督の仕事内容を理解して、入社後に「思ってた仕事と違う!」とならないようにしよう!
現場監督の仕事内容
現場監督の取りまく人
現場監督のまわりには様々な人が関係します。
大きく分けて4種類ほどのひとに区分されます。
まずは1人目は発注者(お客さま)です。公共工事の場合、発注者は国、都道府県、自治体であることが多く、建築や道路工事の場合は民間企業であるのこともあります。
2人目は下請け業者。実際に工事に携わってくれる作業員さんを連れてきてくれる業者さんです。
3人目は自分自身が所属する会社。
4人目は地元住民の方々。工事は周辺住民の方、企業の方の負担になることもあるので丁寧な工事説明や対応で良好な関係を築いておく必要があります。
発注者との折衝
現場監督と言ってももとは民間企業のサラリーマン。お客様である発注者の求めることに答えつつ、会社の利益を上げる必要があります。
利益を上げるためには発注者との信頼関係を築くことも非常に重要な業務のひとつです。
建設業は請負契約。契約の範囲外の作業については設計変更という方法で請負金額を増額してもらう必要があります。設計変更について本記事では詳しくは解説しませんが、発注者との良好な関係がスムーズな設計変更へのカギとなります。
現場管理(入社してすぐの仕事はこれ!)
現場監督といえば、屋外での業務をイメージしますよね。まずは、イメージ通りの現場監督の仕事を説明します。
現場管理と言ってもその種類を細かく分けると5つに大別されます。
- 安全管理
- 工程管理
- 出来形管理
- 品質管理
- 材料管理
いずれも重要な現場管理ですが、重要度順に書いてみました。
建設会社に入社して現場監督として配属されると、まず経験すべきは現場管理です。
若手現場監督の業務で詳しく、後述してます。読み飛ばしたい方はこちらから飛べます!
下請け業者との契約業務
下請け業者との契約業務も現場監督の立派な仕事ですよ。
下請け業者との契約には「建設業法(建業法と言われることも)」や「下請業法」といった遵守するべき法律があります。
本記事では詳しく解説はしませんが、簡単に説明すると「適切な見積もり期間の確保」、「不当に安い金額で契約することの禁止」や「下請け業者からの請求に対して〇日以内に支払う」など下請業者が守るための法律です。
下請け業者無くして建設業は成り立たない!下請け業者は大切にしよう!
収支管理
建設会社は民間の会社であるため利益を出さなければいけません。
建設工事の契約は請負契約です。「ん?うけおいけいやく?」聞いたことあるけどよく分からない。という方もいるのではないでしょうか。大丈夫、管理人もよくわかっていませんでした。
現場監督の仕事は日々勉強です。
請負契約とは、お客様より提示される契約条件(工期、工事範囲など)のもと、建設会社は工事の完成を約束し、お客様はその約束が守られた時に契約代金を支払う契約のことをいいます。
つまり、契約時点で工事を完成させた時に支払われる金額(契約金額)が決まっているということなので、契約金額の範囲以下で工事を完了させることが建設会社の利益に直結します。
契約金額の中で予算を組み、支出をコントロールすることが非常に重要になります。
諸官庁との協議
諸官庁とは、労働基準監督署、警察署、国土交通省、民間事業者(ガス、水道、電気、鉄道など)があげられます。
諸官庁がどこかは分かったけど、何を協議するの?
協議先が多くて、「うげー」ってなりますよね。大丈夫です。「はいはい。諸官庁との協議ね。やっときますよ!」そんなことを言える超優秀な若手は未だかつて見たことがありません。
具体的な説明は割愛しますが、若い方は「だいたいこんなもんか~」とイメージできれば十分です。
- 労働基準監督署・・・労災契約、足場設置に関する届け出
- 警察署・・・交通規制の申請、一定以上の重量、大きさの部材を運ぶ場合の申請
- 国土交通省・・・国が所有する河川内、道路上等に建設する際の届け出
- 民間事業者・・・民間事業者が所有する物件の近くで工事を実施する際の届け出
上に書いた内容はほんの一部であり、工事を実施する地域や条件によって届け出の内容や申請方法は異なることがあります!
工事開始前に各諸官庁へは工事概要の説明とともに各届け出、申請の内容や方法については確認しましょう。
若手現場監督の業務内容
若手現場監督の業務内容は現場管理です。
現場管理とは細かく分けると安全管理、工程管理、出来形管理、品質管理、材料管理がに分けられます。
ここからは建設会社に入社後、現場監督として配属されて行う業務を紹介していきます。
実際に管理人も入社当初に経験した内容なので、伝わりやすいように出来るだけ噛みくだいて、具体的に説明しますね!
安全管理
安全管理はその名のとおり、現場で事故を起こさないためのものです。複数社いる下請け業者の作業内容、作業方法を監督・指導する必要があります。
具体的には安全に関する書類作成、安全掲示物の段取り、現場内巡視、朝礼・昼礼の司会・進行等。安全管理の仕事は意外に多いというの管理人の感想です。
安全管理の業務や書類は、労働法や建設業法に定められる「建設業者が行うべきこと」をきちんと実施していたことを示すための証拠になります。
具体的にその仕事内容を上げると、、、
- 朝礼・昼礼の司会・進行
- 朝のKY(危険予知)活動
下請業者ごとにその日の作業の危険なポイントや危険に対する対策をディスカッションする - 安全掲示物(足元注意、関係者以外立ち入り禁止など)の掲示物
- 現場で使用する機械や車両の点検記録の作成・保管
- 現場の見回り
予定どおりの作業を計画どおりの方法で行っているか確認
安全第一!昔から言われ続けていることだね。
人の命が係わる仕事なので安全書類は非常に多くなっています。万が一、事故が起きた時に自分自身・会社・下請業者を守ってくれる書類になるので書類は整えておくようにしましょう。
覚えておいて欲しいのは「書類作成が安全管理ではない!」ということ。
安全の本質は「誰ひとり怪我せずに工事を進める」ことであると管理人は思っています。
そのために何が必要か?「危険と思われる作業、行動をしないように下請業者にひと声かける勇気と風通しのいい現場づくり」です。
出来形管理
出来形(できがた)管理は建設するものが「図面通りにできあがっているか」を確認することです。
具体的には作業の各ステップで間違いがないか建設物の幅、高さ、長さを計測したり、完成後に計測をすることです。
お客さん毎に計測誤差の許容値が定められており、許容値を目標に出来形管理を進めます。
許容値は作業する工種によっても内容がことなるので施工前に確認しておきましょう!
また、自分で計測するのに加えて、お客さん立ち合いのもと確認することがあります。これを「立会」といいます。最近ではTeamsやZoomなどを利用した「Web立会」も増加中。
立会が要否についてもお客さん毎に決まっているので施工前に確認しておきたいですね!
品質管理
品質管理とは正しい施工方法によって使用する材料などの強度や性能が満足できるかを管理すること。
例えば、鉄同士をつなげる溶接では「使用する溶接材料の選定」、「溶接時の温度」、「溶接部の形状」などその溶接部に構造物として求められる性能・強度が発揮できるように管理します。
コンクリート構造物では、コンクリート材料自体の粘り気や空気密度、塩化物含有量を現場で確認し、構造物が出来上がった後には特殊な測定器を使って求められる性能・強度が出ているかを確認することも品質管理です。
材料管理
材料管理はその名のとおり工事で使用する材料を適切に保管・使用すること。
工事現場で使用する材料にはボルトや鉄筋、溶接材料など様々なものがあります。材料によって現場保管の方法は様々。雨に濡れてはいけないものや保管場所の湿度管理が必要な材料もあります。
そのような材料を工事現場に入れたら、正しい数、種類、仕様であるかを確認して、正しく保管して使用するように作業員を指導することも現場監督の仕事です。
工程管理
最後に工程管理です。土木構造物、建築物をつくるのには手順(工程)があります。大まかな全体の工程を若手の現場監督が作ることはほとんどありません。
一方で、月あたりや週あたりの工程を意識することは若手の現場監督にとって非常に重要です。
重要な理由は2つ。
- 様々な業種(舗装、土工、塗装工、とび工など)が係わる
- 工事の工程に合わせて材料を手配する必要がある
ひとつの工事には様々な業種の業者さんが入ります。例えば溶接工の作業が完了した後には塗装をすることがあります。各業者さんが手待ちすることなく進める必要があるため、日々の工程管理は非常に重要です。
また、工程の進捗に合わせて材料を手配することも若手現場監督の仕事なので、どのタイミングで材料を手配しておく必要があるのかを把握するために工程管理が必要になります。
現場監督の仕事は若手の時期が楽しい理由
楽しい理由① 現場作業員とのコミュニケーションが楽しい
現場監督は良くも悪くもいろいろな作業員の方とコミュニケーションをとる必要があります。各業者には職長というまとめ役がおり、基本的には職長と話すことがほとんどです。
しかし、職長以外の作業員の方ともコミュニケーションを取るのも現場の雰囲気づくりには非常に大切と管理人自身感じています。
仕事の話をすることもあれば、仕事に関係のない話をすることも。どうせコミュニケーションを取るなら楽しい方がいいですよね。
「作業員は怖そう」という偏見を取り払ってまずは声をかけてみましょう!
まずは、職長の心をつかみ取りましょう!仕事を進める仲間です。若手時代には分からないことも多く、職長の方が現場を理解していることもあるでしょう。職長を頼りましょう。
「〇日に材料を入れようと思いますがいいですか?」、「この作業を行うのに、追加で用意しておく、資機材ありますか?」などの声掛けをしてみましょう。
実際に自分が作業をする側に立ってみると、必要なものや疑問が見えてきます。必要なものや作業の進め方を共有しておくことは非常に大切です。「作業者のことを考えてくれているな」と思ってもらいましょう!
楽しい理由② 建設物ができる過程に一番近くで携われる
現場監督のメインの仕事は建設物を作ること(現場管理)。しかし、すでにご紹介したようにそれ以外にも工事関係者との打ち合わせ、収支管理、下請け業者との契約業務など、意外とデスクワークも多いです。
現場管理を理解すると次はデスクワークの業務を任されるようになってきます。デスクワークが増えると現場に立つ時間も減り、作業の進捗を目の当たりにすることができません。
そういう業務を任されるようになるのは後輩社員が増えてくると「ものづくり」という建設業の醍醐味から離れた仕事をする側になってきます。
一番「ものづくり」に近い現場管理に携われることが若手時代が最も楽しい理由です。
まとめ
本記事では現場監督の仕事と若手現場監督がまず担う業務を紹介しました。
- お客様(発注者)との折衝
- 現場管理
- 下請業者との契約業務
- 収支管理
- 諸官庁との協議
建設業への入社を考えていた学生時代にはいっさいイメージの沸かない内容ばかりです。意外とデスクワーク業務も多いのが現場監督です。
一方で若手の現場監督の業務はまさに「現場監督」のイメージ通りであったのではないでしょうか。
- 安全管理
- 出来形管理
- 品質管理
- 材料管理
- 工程管理
若手の現場監督は現場の最前線に立って、下請け業者と打ち合わせ、密なコミュニケーションを取って現場が安全に、かつ工程通りに進めることが仕事。まさに「現場監督」ですね。
現場の矢面に立つからこそ、現場の進捗が管理できるので一番、建設業らしさを味わえるポジションです。だからこそ、現場監督の仕事は若手時代が最も楽しい。
- 現場作業員とのコミュニケーションが楽しい
- 建設物ができる過程に一番近くで携われる
「工学部だから取り合えず建設業界かな」、「大手建設会社の現場監督は手当も充実していて高給取りかな」などを理由に就職・転職すると入社後、「思っていた仕事と違った」ということにもなりかねません。
現場監督という職業には「向く人」と「向かない人」がきっぱり分かれる職業ではないかと管理人自身、8年間の現場監督という業務を続けていて感じます。
2023年4月現在。建設業界の労働力は売り手市場。管理人が所属する会社でも新入社員の採用は右肩上がり。中途採用も盛ん。
新卒入社できなかった大手企業も段階を踏めば、入社が容易な時代が来ていると感じています。
同じ建設業でも給料が低いと感じている方。新卒で建設業への入社を考えている学生さんにとっては非常にチャンスの時かもしれません。
以上、参考になれば嬉しいです。
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